春の駒場散策

2024-04-19

先々週、桜が満開の日曜日。
目黒区駒場にある
日本民藝館に行ってきました。

駒場東大駅で
友人と待ち合わせのため
井の頭線で降り立つと
高校の入学式帰りらしき親子が
ホームにあふれていました。
学生の皆さんのお顔がなんとも賢そうに見え
親御さんが高年収な方に見えてしまうのは
「駒場東大」という駅名のためか…

民藝館までの道のりも
高級住宅街を歩いていくため
息を吸うだけで、なんだか特別感を味わえます。


着いたー!

玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えます。
古いながらも、つやつやに磨かれた木の床を歩くと
「こういう建物に久しぶりに入ったな」としみじみします。

「古染付と中国工芸」の展示の一部だけ
撮影が許されていました。

作品名を記したキャプションボードが
黒字に橙色の筆文字で統一されており
これが民藝館の展示の特徴のひとつでもあるんだな、と思ったり。

この日本民藝館は民藝運動の父であり、柳宗理の父でもある
柳宗悦(やなぎむねよし)が
自身の審美眼をもとに
設計から収蔵品まで
こだわりつくした館だそうで
隅からすみまで美しく居心地が良かったです。

展示されていた中国の古染付も
柳宗悦のコレクションだとか。
しかし、なんかこの器たち
よく言えば味わい深いのですが
悪く言えばあんまり絵心を感じない、
不器用ささえ感じる柄のものがいくつかあり
これがいいものなのか、なんなのかよくわからなかったので
「民藝」の今回の展示の特集号を買ってみました。


記事の中に、柳宗悦がかつて記した一文が載っていました。
「〜全盛期の上手ものはとかく精緻さが過ぎるため、技が抹消に走り易いからである。
(中略)この種の下手な染付にこそ、真に染付としての生命が甦っていると思う」
(中国の陶磁器)『民藝図鑑第三巻(1963年)』)
そうなんだ、あえてそこに「美」を見出したわけなんだ。
さすが着眼点が違う…
もっと柳宗悦の視点が知りたくなって
ミュージアムショップで本をいくつか購入。
その他の展示は常設のものも数多く
日本を代表数する陶芸家のひとり
河井寛次郎の作品、
また寛次郎と棟方志功との交流で生まれた作品、
韓国の螺鈿細工などの工芸品、
沖縄や北陸など日本各地の工芸品、
イギリスのスリップウェア、
かつて母校の学長であった柚木沙弥郎先生の作品
などなど、ここに書ききれないほどの作品が
部屋ごとに特集されており
それらが柳宗悦の眼をとおし、
交流をもって集められたものたち
なのだということで
とても見応えあり、素晴らしかったです。
また来る!と思いながら館を出ました。

さて、天気もよかったのでせっかくだから
近くの駒場公園を散歩してみようということに。

なんの前情報もなく、公園に入ったところ
すごいものに出会ってしまったのです。
それは、重要文化財 旧前田本邸です。
旧加賀藩主前田家16代当主
前田利為侯爵のお屋敷だそうです。

まずは、和館。
へ〜すごい広いお屋敷だな〜と思っていたら
客人用の離れでした。(後から知った)

素敵!廊下でも住める広さ!
なんなの!
と言いながら外に出て歩くとほどなくして洋館が見えてきました。


すごいすごい!どこから入るの?え、入れないの?と思ったら、館の裏でした。
ぐるっと館沿いの道をまわると
ばばーん!

なんか、雑誌や映画やドラマで見たー!ここかー!な車寄せが登場!


全部屋にマントルピースがある!

カーテンがモリスのいちご泥棒よ!春風さん!

ドレスが似合う階段!
風と共に去りぬでスカーレットが降りてきた階段のようだ!

あまりにも部屋が多くて、16時の閉館までにまわりきれず
ここもまた来る!と誓って出たのでした。

このベランダの前が広い庭になっていて
桜が咲き乱れ、多くの人たちがお花見でひしめき合っていました。

驚くべきことに、この広大なお屋敷が無料で公開されているのです。
目黒区は太っ腹だ!
上野の旧岩崎邸やら、北区西ヶ原の旧古河邸やら、
いくつか行ったことのあるお屋敷のなかでも段違いの広さ、豪華さです。
東京のどまんなかにありながら、別世界に飛べる
おすすめスポットです。
GWにいかがでしょう?