今年の夏、やたら「リヒター」という名前を聞きませんか?
それもそのはず
東京国立近代美術館
「ゲルハルト・リヒター展」
国立西洋美術館
「自然と人のダイアローグ
フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」
ポーラ美術館
「モネからリヒターへ」
以上3つの有名美術館が
「リヒター」の名前を冠する美術展を
ほぼ同時期に開催しているのです。
東京国立近代美術館のHPはこう言っています。
「ドイツ・ドレスデン出身の現代アートの巨匠、ゲルハルト・リヒター。
その個展が、日本では16年ぶり、東京では初めて、美術館で開催されます。」
https://richter.exhibit.jp/
個展は16年ぶりですってよ!
行ってるんですよ、私。その16年前の個展に。
2005年の年末だったか2006年の年始だったかの木枯らし吹く寒い日曜日。
東京大田区から、一人ではるばる千葉県佐倉市まで
DIC川村記念美術館「ゲルハルト・リヒター 絵画の彼方へ」を観に。
佐倉駅からの人気の少なさとはうらはらに美術館に入ると、人、人、人。若い人から年配の方までいっぱい。
会期も終盤だったせいもあるかと思うのですが、図録が売り切れで。
欲しいなら、予約してください。増刷したら送ります。ってな感じでした。
他も物販はスカスカ状態。せっかくここまで来たのに手ぶらで帰るんかい!(いや、作品観に来たのがメインだから…)それにしてもリヒターって人気なんだなってあらためて感じた次第。
米オルタナティブバンド、ソニックユースのアルバムジャケットに使われていたことでリヒターを知った私。
そのメガネを外して物を見たような輪郭がぼやけた独特な画風がとても印象的で、直で観たい〜!と思って行ったら、それは若い頃?の作品で、今はこんな感じと展示されていたのがまったく印象の違う抽象画で、けっこう作風をどんどん変えていく人なのだなと感じた展覧会でした。
そんなリヒターだから、16年前からまた作品も増えているだろうし、気になる。
もっと若い方だとずっと思い込んでいたのですが(60歳代ぐらいとか)なんと90歳だということじゃないですか。
ともかく、行かねば。
コロナ感染が再拡大する一歩手前の6月、箱根に温泉に入りに行った際に、まずはリヒター第一弾「ポーラ美術館」へ行ってまいりました。
初めてのポーラ美術館。いつか行きたいと思っていた願いが叶いました。
屋根を伝う水(雨水?)がキレイ。
宮城県生まれの巨匠、佐藤忠良の作品がお出迎え。
「中」にいるのに、存分に「外」を感じる造り。
やはり、モネ。安定の蓮。
ポーラ美術館が所蔵するさまざまなジャンルのたくさんの作品を経て
14番目の部屋でようやくリヒター登場。
あれ?1点だけ?《グレイ・ハウス》1966年
杉本博司氏の作品の数のほうが多いが?
杉本さんのはとても見応えがありました。写真では伝わらない発光感と色の力。今、自分の目を通して受け取っているものは何だ?と考えさせられる空間。
もうひとつ、リヒター登場。
ポーラ美術館が約30億円で落札したという《抽象絵画 (649-2)》1987年
このぐちゃぐちゃに溶け合っているようで交わらないエッジの効いた色たちよ。
何層ものフィルタの向こうがわに何かあるように感じるのは、
輪郭がぼやけた具象画である上記《グレイ・ハウス》と根っこが同じかと思う。
チラシの絵はこれだったんだ。
しかし、このチラシすごいんです。
観音開きの断ち部分に、5ミリにも満たない白い帯が配置されています。
フォントの太さと帯の太さが同じ。断裁のズレでこの帯の太さが少しでも変わったら成り立たなくなるデザイン。だから印刷から断裁まで気の抜けない緊張感のある仕上がり。恐ろしく美しい!
一番最後に、観たいと思っていた三島喜美代の作品が。
何でできていると思いますか?セラミックに印刷した陶器なんですよ。
ここまで観るのに何時間かかっただろうか…
とにかく作品量が半端ない。開館20周年記念展だけありました。
リヒターは2点だけだったけど、その他大好きな作家の作品もあり胸がいっぱいになった展示でした。
お手洗いのハンドソープはポーラ製。そりゃそうだ!
締めくくりにポーラ美術館名物オリジナルシーフードカレーでお腹を満たし、帰ることに。やわらかい味で大変美味しゅうございました。
本当は庭園のほうも散策したかったのですがタイムアウトでした。また今度!
もうすぐ夏がくるぞ〜!
次はリヒターがメインの国立近代美術館に行くぞ〜!
と心に決めた6月半ば。
そして今、8月の終盤。
行けてません!何してたのかしら私!わあ〜(泣)
いやいや、会期は10月2日までだから。
次のブログ担当の日にはきっとリヒター第二弾をお伝えできるかと思います。
ポーラ美術館のモネからリヒターへ展は9月6日までです。
ご興味のある方はぜひ!