熊谷守一美術館へ

2023-09-29

涼しくなってきたある日曜日の午後。
お散歩がてら、自宅の近所でずっと気になっていた
「熊谷守一美術館」へ行ってきました。

近所といえど、実際どこにあるのかは知らず。
Googleマップを見ながら歩くと…
本当にありました、住宅街にぽつんと
コンクリ打ちっぱなしの美術館が。

こちらは大正時代から昭和にかけて活躍した
洋画家・熊谷守一(くまがいもりかず)さんの作品を収蔵する美術館です。


コンクリートの外壁には代表作「赤蟻」が
拡大されて刻まれ、一際目をひきます。

こんな住宅街のど真ん中にある美術館って
めずらしいと思ったら、
もともと熊谷守一さんの自宅があった場所だそうで。
そういえば、この一帯は戦前に画家の住居やアトリエが点在し
「池袋モンパルナス」とも呼ばれたエリア、らしいです。
残念ながらいまや跡形もないので普通の住宅街ですが…。

さっそく入館して目録を入手。

熊谷守一さんといえば、外壁にあった「赤蟻」や
↑の表紙にもなっている「アゲ羽蝶」のように
シンプルな輪郭線と色で描きあげられた生き物の絵が
代表作とされている画家です。
これは晩年の作風だそうで、展示には若い頃に描いた写実的な風景画などもありました。
東京美術学校(後の東京藝術大学)卒業ともあり
シンプルな画風からは一見わからないかも知れませんが
写実的な絵もとても美しかったです。

作品に添えられた解説文はこの美術館の創設者であり、
自身も画家である守一さんの娘・榧(かや)さんによるものだそう。
家族ならではの観点で作者の人柄まで伝わる作品解説がおもしろくて、
ひとつひとつじっくり読んでしまいました。

生き物をモチーフとした絵が多く、
分かりやすくて小難しくないところも
愛されている理由なのだろうと思います。

私が一番好きだったのは、縁側でくつろぐ野良猫を描いた「白猫」という絵。
少ない線でありながら「猫ってこういう顔するよなぁ」と思わせてくれる作品で
作者の猫好きなところが伝わってきます。

作品を一通り見終えた後、売店で「白猫」のマスキングテープを購入。

普通ならここで帰るところですが、
この美術館の楽しみは作品だけではないんです。
それがこの併設されているカフェ。
前述の榧さんのお名前を冠した「cafe Kaya」です。
なんと、作品を眺めながら榧さんの手びねりの器でお茶をいただけます!贅沢…!

紅茶とくるみケーキをいただきました。
静かなカフェで目録をゆっくり読みながら
ひとりティータイム。
優雅なひと時を過ごさせていただきました。

帰り際、チラシコーナーでおもしろそうな催しを発見しました!

美術館でデッサン会とはなんと素敵なんでしょうか。
今度参加してみようと思います!

こんな良い美術館が近くにあったなんて…。
もっと早く来なかったことを後悔するぐらいでした。
みなさまも池袋の西側にお越しの際はぜひ。