古くから子供の成長祈願のお守りとして愛されている日本の郷土玩具、犬張子。
こちらは「福犬」と名前のついた我が家の犬張子です。
まんまるな体、まんまるな顔、まんまるな目、とってもフォトジェニックなかわいこちゃんです。
戌年の2018年が明けて間もない週末、初売りで賑わう百貨店でこの福犬に出会いました。
買い物が終わり、帰りがけに通り過ぎようとした催事コーナーで
職人さんが動物の置物に絵付けの実演をしているところに遭遇。
わあ〜、かわいい!!
と思わず立ち止まり、絵付けされた大小の可愛らしい置物に釘付けになる私。
「江戸の郷土玩具で、犬張子というんですよ。」
とそばに立っていた優しそうな女性が説明してくれました。
聞けばこの方は職人さんの奥様で、絵付けをされている旦那様、
田中作典さんは、荒川区で江戸時代末期から続く犬張子職人の3代目なんだそう。
田中さんは、紙を糊で貼り付ける従来の犬張子制作の手法とは異なり、
桐のおがくずを固めて成形する雛人形と同じ手法を用いる全国で唯一の職人さんです。
着物の端切れを使った飾りは奥様が丁寧に手作りされています。
もう60年近く夫婦共同作業で犬張子制作をされているそうです。
そんなご夫婦の愛情が詰まった犬張子。これは購入しない理由がありません!笑
とはいえ、犬張子の他にも「ポチ」と名前がつけられた犬がいたり、大小の招き猫がいたり、
どれを連れて帰るかとても迷いました。どれもかわいい。どれも欲しい・・・。
散々迷って、結局「福犬」という小さな犬の置物をひとつ買うことにしました。
しかし手作りゆえに同じ福犬でもひとつひとつ表情が違います。また迷う・・・
どの子にしようかな〜、とさらに見比べながら延々悩んでいると、
なぜか一匹だけ頭のてっぺんを黒く塗られた子がいるのに気がつきました。
ん?これは・・・?
「その子にはいたずらで髪の毛を描いてみたんです。」
田中さんはそう言って、子供のようにキラキラした目で、茶目っ気たっぷりにニッコリ笑いました。
犬なのに髪の毛があるちょっと変わった福犬は今、
我が家のリビングのテーブルの上にちょこんと立っています。
まあるいその顔を見るたびに、私は福の神様のような田中さんの笑顔を思い出し、
温かく幸せな気持ちになるのです。