バイキンマンは幸せになれるか?

2025-04-25

小さい頃一度は通るであろう国民的キャラクターアンパンマン。先日朝礼で熱く語った所、次回のブログに書いたらどうかと言われたため少し語らせてもらおうと思う。
まず、私はバイキンマンが好きである。
アニメが始まったのは1988年10月3日からだそうで、その頃にはギリギリ生まれていたためよく見ていた。小さい頃は言葉遣いが丁寧で誰にでも優しい食パンマンが好きで、バイキンマンは悪いやつだと思っていた。
子供が生まれてお下がりをたくさんもらい、その大半がアンパンマンだったためおのずとアニメを見る流れに。
すると思っていた世界とは違うストーリーだった事に気付く。


我が家のアンパンマン玩具たち(一部)。

●バイキンマンが意地悪な理由

まずあの世界には通貨がない。
食べ物は各々で作って分け与えて生きている関係上、バイキン島という遠い海の向こうに住んでいる余所者のバイキンマンは奪って飢えを凌ぐしかない。
素直に「ちょうだい」と言えば分け与えてもらえるが、彼の中ではどうしても出来ないらしい。バイ菌という性質上、きれいな物や掃除が大嫌いらしく「何かそういう素直じゃないキャラ」のよう。

●バイキンマンはいいヤツだ

様々な話の中に「バイキンマンいいヤツ話」がたまにある。
その真骨頂が去年6月に公開された映画「それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン」ではないだろうか。映画にしては珍しく、主役がバイキンマンの物語。

絵本の中の弱虫な森の妖精・ルルンが「すいとるゾウ」という巨大な象に森を荒らされ、バイキンマンに助けを求める。
倒せばこの世界が手に入ると思いバイキンマンは戦いを挑むが、かなりの強敵で負けてしまい「見返してやる!」とお得意のメカ作りを始める。
まずは鉄を溶かして鋳造し工具を作り始め、カンナで木材を削り、水準器で水平か確認、墨壺でピンと糸を引っ張り線を引き、慣れた手つきでウッドダダンダン(元々ある鉄製ダダンダンの木製バージョン)が完成。

ウッドダダンダン制作中にルルンが弱音を吐くと「おれさまなんか何回も失敗してんだ!」「おれさまは何度やられても立ち上がるんだ!」と奮い立たたせ、すっかり勇気をもらったルルンを率いて互角の戦いを見せる。

それでも勝てなかったバイキンマンは「アンパンマンを呼んでこい!」とルルンだけ逃がして自分は捕まってしまい、ここでようやくアンパンマンが登場。
囚えたバイキンマンを盾にした「すいとるゾウ」に攻撃するとバイキンマンに当たってしまうと悟ったアンパンマンは、自分を犠牲にして攻撃を受け、バイキンマンに後を託す。その後はもちろんバイキンマンの大勝利!
お礼を言われ、確か「ふんっ!」とか可愛くない事を言いながら去っていきました。

小さい頃「絶対悪」だと思っていたバイキンマンが、元々は自分のためとはいえ、他人を励まし、己の力量を把握し自分を犠牲にしても助けを求められる人(菌?)だったとは。カッコイイじゃんバイキンマン。
さらにいつも戦い合っている2人が、実は結構信頼し合っている仲なのが良く分かってもう涙腺が崩壊。
隣の当時2歳娘が、結構序盤から怖かったようでなだめたり泣けたり、もう大忙し。

●バイキンマンはかなりの稼ぎ頭

この映画が色んな大人にウケたようでSNSで良い前評判が流れ、大人も観たい!となり公開翌月に大人用の「アンパンマンナイト」や「発声可能応援上映」が実施されたそう。いつも子供用に音量小さめ・場内明るめにしているところを通常の劇場と同じ仕様で夜に上映し、さらには35作目にして興行収入歴代最高額の6億7000万円を叩き出した。
特にSNSではバイキンマンがウッドダダンダンを様々な技術を駆使して製作するシーンが子供向けとは思えず、高評価されていた。
そのウッドダダンダンが戦うシーンなんかはメカニカルな動きで手に汗握るし、調べたところ監督がゲッターロボやサイボーグ009を手がけた方で脚本も特撮系の方らしく、アンパンマン侮りがたし、である。

「アンパンマンナイト」を記念して川越監督が描き下ろしたイラスト

●バイキンマンが食べ物を獲得する方法

以上の事から、彼は天才科学者という設定で様々なメカを作って壊れたらすぐ修理出来るため、町のみんなに便利なメカを作ってそれを食べ物と交換したら良いのだ。
特にアンパンマンが倒された時などは「ジャムおじさんに知らせに行く」というかなりアナログな手段をとっているため、電話機を最初に作ることをおすすめしたい(あの世界にはバイキンマン以外にも敵がいるので、バイキンマンが味方になったとて電話機は必要である)。

だがそこは問屋が下さないのか、素直じゃないバイキンマンがそれを実行できるかはなかなか難しそうである。
また、何だかんだあいつは今のポジションが気に入ってるように思う。

ただ、もし可能なら、アンパンマンはアンパンチしたい気持ちをぐっと堪え、もう少し寄り添った形で頼っていけば、ジャムおじさんは新しい顔を作る機会が減り余計な小麦粉の消費量も減らせる上に、平和が訪れるのではないだろうか。ぜひご検討願いたい。

追記
後々分かったのだが、娘はバイキンマンが嫌いらしい。
そりゃそうだ、私もそうだった。1人で観に行くべきだったと母ちゃんは後日猛省したのである。