スピルバーグに感謝

2022-02-25

覚えていらっしゃる方は誰もいないと思いますが。

2019年7月20日、私
当ブログにてこんなことを書きました。

「今年の初め「スピルバーグ版ウエスト・サイド・ストーリーのキャストが決定!」というニュースがラジオから聞こえてきて「何それ!!!!」と心がざわついた瞬間がありました。来年公開予定とのこと。スピルバーグか…吉とでるのか凶と出るのか。心中おだやかではない私。」

そうなんです。
そのスピルバーグ版ウエスト・サイド・ストーリーが
この2月にやっと公開になったのです。
そして、観てきました。
映画館へ行く日の二週間前から
サントラを聴き込み、
それに飽き足らず、色々な歌手が劇中歌「マリア」を歌う
「マリア」だけのプレイリストを作り
ひたすら聴く毎日。
バーンスタインが作曲した「マリア」という名曲。
作られた当初は歌うのが難しい箇所があり
オーディション用にある部分を歌いやすくした
バージョンがあるのだと聞きました。
「これ、歌ってほしいけど。無理だと思うからこっち歌ってもいいよ」と。
映画で歌われているのは、このやさしいバージョン。
ところがですね、アンドレア・ボチェッリとかが
難しい方を歌ってるんですよ。
いいんですよ。これがまた。
でも、これは20歳そこそこの
若いトニーが歌う歌なので
やっぱり若い男性の声もいいんですよね。
そんなこんなで10曲ぐらい
いろんな人の「マリア」を聴きながら家路に着く幸せ。
おっと、そんなことはどうでもいい。


素晴らしかったです。
観る前は、やはり1961年度版は超えられないのではないかと思っていました。
しかし、サントラを聴いた時点で「これは、傑作の予感」がしていました。
超えるとか、超えてないとかじゃなくて
スピルバーグは、ほんとにこのミュージカルが好きなんだなと。
自分だったら、こうしたい。大好きなこの場面をもっと良くしたい。
そういう気概がひしひしと伝わってきました。
まとめます。

①キャストがいい。
これはあくまでも持論ですが、
ウエスト・サイド・ストーリーの主人公である
トニーとマリア。この二人がまあ、共感できないキャラクターで。
その分、脇を固める
・リフ(ジェッツのリーダー/ポーランド移民)
・ベルナルド(シャークスのリーダー/プエルトリコ移民)
・アニータ(ベルナルドの恋人/プエルトリコ移民)
この3人がぐいぐいと物語を引っ張っていきます。
なので、映画も舞台も、この3人を演じるのが誰かに成功がかかっています。
まさに、今回素晴らしく魅力的にアニータを演じたアリアナ・デボーズは
アカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。

②歌う順番が違う。歌う場所が違う。歌う人が違う。
今までも舞台版と映画版では、シーンの順番を変えたり
歌う順が違ったりしていますが
今回は、「え、あなたがここでこの歌を歌う?」という新鮮な驚きがいくつかありました。
でもそのほうが断然しっくりくるし、物語に勢いをつけている。
わかってる!わかってるね!スピルバーグ!
(私何様?)
そして、マイケル・ジャクソンの「ビート・イット」の元ネタ
「Beat It!」というセリフ。
これも、「えっ!そこで言うの?」というように。
「そうきたか〜!!」というところ満載です。

③けっこう重要な役がらなのに
あまりにもぞんざいな扱いだった
チノ(シャークス/プエルトリコ移民)と
ジェッツに入りたくても除け者にされ続ける
不遇の女子エニボディーズに
光を当てたこと。
これは私的にはぐっときました。

④初めてラストで泣けたこと。
あまりにも主人公2人に感情移入できず
劇的なラストにも若干白けていた今まで。
前出の魅惑の3人のうち、2人は中盤でいなくなっちゃうし
前半に盛り上がりが頂点に達したあとは
後半なんかだれる。見どころがない。
(あくまでも持論です)
ところが、今回はトニーがなぜジェッツのリーダーだったのか
そしてジェッツとシャークスの対立の緊張感。
主人公の心のうつろいなどなど
いろいろと丁寧につくられていて
最後、大号泣。

あまりにも思い入れが強い作品なので
歌聴いただけで泣いてしまうに違いないと
あらかじめマスクの下にティッシュを2枚仕込んでおいてよかった。
全部吸ってくれました。

帰り、パンフレットを探したら
「公式メイキングブック」という
他のパンフに比べると、倍お高い本しか
売ってなかったのですが
買いましたさ!


左はカバーで、右が本体

厚くて読み応えがある。
この中に、スピルバーグや演者、
スタッフがどのようにこの映画を作って行ったか
つぶさに書かれているようなので
お得なお買い物でした。
しばらくは余韻に浸れる。

下のほうは2003年のデジタルリマスター版を
映画館に観に行った時のパンフです。
このときも、感激して
ショップにあった「ウエスト・サイド・ストーリーせんべい」を
お土産に買ってかえったなあ。
そういえば、今回はせんべいはなかったなあ。