「三体」を読んで

2022-01-21

昨日、ようやく「三体」シリーズ全巻を読み終わりました。

右から
「三体」
「三体Ⅱ」 黒暗森林 上下
(写真は順番間違えました)
「三体Ⅲ」 死神永生 上下
長かった〜。でも読み終わって
「三体」ロスになっているところです。

「三体」との出会いは遡ること2年半前。
2019年9月(コロナ前ですね)
日本橋にコレド室町テラスがオープン。
そのワンフロアが日本初上陸の
台湾の大型複合書店
「誠品生活」になると聞いて
家族で見に行った時のこと。
夫が「これ買おうと思う。」
と手にしていたのが「三体」でした。
「なんかすごい面白いらしい。
あっちこっちで話題なんだ。」とのこと。
話題?私は全然知らないけど?
表紙を見るに国際問題もの?
戦争もの?歴史もの?
「中国のSF小説。」
へえ〜。

それから半年。
しばし「三体」のことを忘れ。
夫は読み始め早々に挫折した模様。
やがてコロナの感染拡大による
おこもり生活が始まり
私は決心したのです。
「その三体、私が読もうじゃあないか。」
実は一目見た時から
気になっていたその装丁。
カッコいい。カッコ良すぎる。
壮大でドラマティックな
絵の真ん中に走る
一本の赤い光の柱と交差する
隷書で書かれた「三体」
という文字の堂々たる美しさ。
体の奥底から血が沸るようなその佇まい。

検索したところ、
装画=富安健一郎/装幀=早川書房デザイン室
とありました。

なんでも富安健一郎氏はコンセプトアートの第一人者らしい。
そこでまたも初めて知る「コンセプトアート」というジャンル。

コンセプトアート(英concept art)とは、映画、コンピュータゲーム、アニメーション、漫画などで使用するデザイン・アイデア・雰囲気などを最終製品として仕上げる前に視覚化して伝えることを主目的としたイラストレーションの一形態である。ビジュアル開発やコンセプトデザインなどとも呼ばれる。
Wikipediaより抜粋

読んでいくうちに、わかるんですよ。
ああ、この表紙の絵は
この場面の描写だったのかと。
SF小説はあまり馴染みがなく
科学がそれほど得意じゃない私ですが
最後まで読めたのは
この装丁、この絵が
引っ張ってくれたからです。
この絵が、私の中の「三体」を
広げてくれたからです。

「三体」は世界中でヒットしており
世界各国で発刊された
「三体」の装丁を集めているサイトを覗いたら
全部テイストが違っていて驚きました。
同じ内容でこうも違うのかと。
スタイリッシュあり、ハリウッド調あり。
中国の装丁は「三体」の文字が
ロゴマークのようにデザインされています。
でも、やっぱり日本の装丁が一番シビれますよ。
他と比べると、オールドスタイルに
見えるかもしれないけれど、
そういうのはもうどうだっていい
強さがあるんです。

さて、それでは「ほんとに読んだのか!?」と
怒られかねないほどの超ざっくり具合で
三体シリーズの中身を紹介しましょう。


まずは、すべてはここから始まった「三体」。
内容のぶっ飛び度☆☆☆★★
科学の専門知識・用語満載で
わけわからん度☆☆☆★★
小説として楽しめた度☆☆☆☆☆

文化大革命で学者の父を殺された葉文潔(女性)
この世に絶望し、地球外文明である三体文明に
「もう地球はどうしようもないから、どうにかして」と
コンタクトをとる。
(夫は文化大革命描写でつまづいたようです)
三体文明は「わかった400年後に地球に侵略にいきますわ」と返してくる。
ナノマテリアル開発者汪淼(男性)がその事実つきとめる。
さて、地球はどうなるの?

「三体Ⅱ」 黒暗森林
内容のぶっ飛び度☆☆☆☆★
科学の専門知識・用語満載で
わけわからん度☆☆☆☆★
小説として楽しめた度☆☆☆☆★

400年後に超強いヤツが攻めてくる!どうするよ!
ということで、全世界から4人の選ばれし「面壁者」が
強大な権限を持たされ、いろいろと策をねる。
4人のうちの一人、無責任男の「羅輯」は
なんで自分ごときが「面壁者」に
選ばれたのかわからぬまま
ジェットコースターに
乗っているかのように
地球と宇宙と三体文明に
人生と生活を翻弄され、
三体文明と対峙する術にたどりつく。


「三体Ⅲ」 死神永生
内容のぶっ飛び度☆☆☆☆☆+☆☆☆☆☆
科学の専門知識・用語満載で
わけわからん度☆☆☆☆☆+☆☆☆☆☆
小説として楽しめた度☆☆☆★★

面壁者羅輯によってどうにか
保たれていた三体文明との関係。
新たな執剣者が選ばれ、
年老いた羅輯と役割を交代することになった。
それが今作の主人公である
若き美人エンジニア「程心」。
だが交代したとたん
あっけなく三体文明に攻め込まれ
地球と人類大ピンチ!(これが前半)
そこからがもう、「三体Ⅱ」
どころじゃないジェットコースター人生の程心。
距離も光速で飛ぶ、時間が何世紀も飛ぶ、
わけわからなさMAX。
最後の数ページまで超加速が止まらず
あっけにとられるほどの結末。

ここまでスケールの大きい話は
本でもドラマでも映画でも
味わったことがない。
読んでいる間、私の知らない宇宙、
未来の世界へ連れて行ってくれる
興奮が続きます。
なので読み終わった今、
ぽっかりと体に穴が
空いたようなのです。

最後に、登場人物の中国人は
漢字読みと中国語読みが表記されているんですが
かなりミックスして読んでいました。私。
葉文潔は「ようぶんけつ」
汪淼は「ワンミャオ」
羅輯は「ルオジー」
程心は「ていしん」
みたいに。
私としては「三体Ⅱ」に出てくる軍人
章北海「ジャン・ベイハイ」の
名前の響きが好きです。

今後、Netflixで実写化が予定されているようですが
好きな登場人物「章北海」「史強」が
どんなキャストになるのか、
そして「三体Ⅱ」の「水滴」、
「三体Ⅲ」の「紙切れ」の場面
(この場面は本当に巨大スケール。鳥肌立ちます)
はどう描かれるのか。
楽しみでなりません。

私みたいな、科学オンチでも
ものすごい世界を体験させてくれた「三体」。
(読み解けないところはいっぱいありましたが)
ぜひあなたもどうぞ!