リスペクト

2021-12-10

2018年8月、アメリカの偉大なる歌手
アレサ・フランクリンが永遠の眠りにつきました。
76歳でした。
しばらくして、彼女の伝記映画が
制作されるというニュースがながれてきました。
主演はジェニファー・ハドソン。

やっぱり、やっぱりそうか…
アレサを追悼する会でジェニファーが
アメイジンググレイスを歌っている場面を
YouTubeで見た時、
そんな予感がしていました。
その時のジェニファーの歌声は
あまりにも神がかっていて
電車で見ていた私は涙がこぼれそうになって
「やばいやばい!」
と思いながら動画を止めたのを覚えています。

映画公開はいつなのかしら。
待てども待てども音沙汰なく。
やっと2020年に公開予定となるも、延期。
そんなこんなで心待ちにしていた映画が
ついにこの秋、11月5日に公開となりました。

「リスペクト」(写真はパンフレット表紙)

アレサが持つ多数のヒット曲の中のひとつ「リスペクト」。
映画ではこの曲が生まれる場面も描かれていて
そこが好きな方も多いのではないでしょうか?

ユニバーサル・ピクチャーズ公式チャンネルより
『リスペクト』名曲「Respect」誕生の瞬間が収められた本編映像

待ちに待った公開であったのにもかかわらず
なかなか映画館に足を運べず、
やっと行けたのは先週の土曜日。
それまで、なかなか行けないもどかしさを
サントラを聴くことで紛らわしていた私。
映画が始まり、アレサの子役が歌った瞬間に
体の中にたまったアレサダムが決壊。
滂沱の涙。涙。涙の放水です。
べつにストーリーに感動しているわけではないのですが
歌がはじまると、給湯ポットのスイッチを押した様に
ドバーーーー!と涙が出る体になっていました。

とにかく、
ドリームガールズを観たとき以来、ジェニファー・ハドソンが好きで。
彼女が歌いまくるところを観たかったというのもあります。

ジェニファーは40歳ですが、
ういういしい10代後半からのアレサを演じていても
なんら違和感がない!
上演時間の半分以上は歌です。
大きいスタジアムでのシーンや
ライブハウスでのシーンも多いので
まるで、ライブを聴いているかのように没頭できます。
2時間30分、あっという間でした。
決してアレサのモノマネではなく、
ジェニファーの歌声でアレサを演じている。
そこが素晴らしかった。
映画全体を通して、制作側の全ての人の
アレサ・フランクリンへのリスペクトを感じました。

名シーンは数多いですが
私が心に残った場面がありました。
アレサがまだ駆け出しでヒット曲もない頃、
小さなライブステージに立った時
大先輩ダイナ・ワシントンが見にきているのを意識して
「ダイナに敬意を表して」と彼女の曲を歌おうとしたところ
ダイナの逆鱗に触れます。
「女王の前で、女王の曲を歌うんじゃない!」
ダイナは星一徹よろしく
盛大に目の前のテーブルをひっくり返します。

あまりの剣幕に驚き、楽屋に逃げ帰るアレサ。
アレサを追いかけてきたダイナは
泣きじゃくるアレサに説教。
そのあと、優しく言うのです。
「(泣いて腫れた目に)ティーバッグをあてな。
腫れが引くよ。」

映画が終わり、エンドロールも終わり、劇場が明るくなって
やっと私の涙も引いてきました。
そのとき、ダイナの言葉が蘇りました。
「ティーバッグをあてな」
家に帰ってからティーバッグを当ててみようと思いましたが、さて。
そのティーバッグって、出涸らしのものがいいんだよね?
もうちょっと詳しいやり方を教えて欲しかったなあ〜。

だいぶ上映館も減ってきましたが
もし、アレサ・フランクリンがちょっとでも好きなら、
ドリームガールズが好きな方なら、
ジェニファー・ハドソンが好きなら、
ソウルが好きなら、R&Bが好きなら!
絶対に面白いと思う!おすすめです。

ユニバーサル・ピクチャーズ公式チャンネルより予告