美術館を訪れて

2020-02-07

元イラストレーターの親に小さい頃から頻繁に美術展に連れ回され、様々な美術館を訪れました。
昔は身長が足りなくてよく見えず、おまけに静かにしないといけないため、ある程度背が高くなるまではつまらなかった記憶があります。
箱根にある彫刻の森美術館は特に楽しくて家族で何度も訪れましたが、国内では飽き足らず、フランスとイタリアの美術館や絵画彫刻のある教会、礼拝堂も「足が悪くなる前に行きたい!」と言われ一緒にたくさん巡りました。

美術館に来ても、もはやここに来た事があるのか無いのか、自分ではよく分からないこともしばしば。
そんなことで(?)先日東京駅構内にある「東京ステーションギャラリー」に行ってきました。多分初めてのはず。たぶん。

「駅を単なる通過点ではなく、香り高い文化の場として提供したい」という願いを込めて1988年に開館した美術館ですが、2012年にリニューアルされ今の姿になっています。
東京駅の歴史が残るレンガ壁が内装に何箇所も使われており、独特の雰囲気とやや暗い照明がなんともいい雰囲気。

↓そんな雰囲気のある階段。あまりにも素敵だったので上がったり下がったりしてしばらくウロウロしました(不審者)

↓普通に手をつきそうになった時に、うぉっ危ない危ない。
タモリさんと一緒に歩いたら楽しそう。

今回は電車の中吊りを見て一目惚れした、坂田一男さんという、今まで知らなかった方の展示がやっていたため興味を持ちました。
日本人なのにキュビスムという技法(様々な視点から見た面を1つのキャンバスに収める)を使っていて珍しく、色合いも落ち着いており、好きかも!という具合。こういう発見と出会いが楽しい美術館はワクワクしますね。

坂田一男 捲土重来(けんどちょうらい)
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201912_sakata.html
(展示は1月26日で終了しています)

坂田一男さんは1889年に岡山で生まれて当初医者を目指しますが、ノイローゼの療養中に学んだ絵画の道へ進み、32歳で渡仏しキュビスム画家の助手を務めつつパリの第一線で活躍されます。
この時期に本場の美術を身につけた日本人画家は珍しく「ワシの絵は50年経ったら分かるようになる」という言葉を残したそうです。
モチーフは壺や鯉のぼりのような「内と外」が存在する物を使用し、その内と外を1枚の絵で一体化させた場面を描こうとしている作品が数多くありました。
戦時中は手榴弾を題材にし、静寂と、爆発した途端に外の世界が一変してしまう恐ろしさを1枚で表現した作品も。

↓「コンポジション(メカニック・エレメント)」というタイトルの作品。機械類も「内と外」が存在しているため非常に好きな題材だったようです。
(館内作品は撮影できないため、お土産で購入したポストカード)

こういった抽象画は見たまま描く訳ではなく、様々な思考を凝らしてからキャンバスに向かうため、頭の中が覗けたようでなかなか面白かったです。
どうやらこの美術館は展示内容がニッチなものが多いそうで、普通の美術展は飽きたかもという方にピッタリ。こんな場所もあったとは〜早く知りたかった!今後とも要チェックです。

最後は美術館のお楽しみグッズ売り場。
図録やポストカードの他、東京駅という事もあり電車にちなんだグッズが多数販売。
散々迷った挙句、切符型マスキングテープを買いました。可愛くないですかこれっ!!